「とちぎ未来開拓プログラム」にともなう賃金カットに対する見解

2009年10月28日

全栃木教職員組合執行委員会

 知事は本日、職員の賃金5%カットや職員定数削減を盛り込んだ「とちぎ未来開拓プログラム」を発表した。私たちは賃金決定ルールを無視したこのような一方的な賃金カットについては、断固認められないことを表明する。
 さらに、賃金カットをするに至った財政の悪化について、「職員に責任はない」と知事自ら言明し、「三位一体の改革」による歳入不足が少なくないことも副知事は述べている。私たちに関わっては「これ以上の賃下げは教職員の士気に影響する」と、教育長も出席した昨年度の交渉での回答もある。これらの発言を読む限りにおいて、なぜ賃金カットをされなればならないのか、私たちを納得させる理由は未だに示されていないのである。
 さて、「とちぎ未来開拓プログラム」では、当初示された行政サービスの削減は撤回されることになった。関係する団体などによる署名運動の成果であり、これらの切実な県民の声を無視することができなくなったからにほかならない。私たちは再三にわたって、「当たり前の県民サービスが予算化できない国の制度に問題がある。この根本原因を取り除くためにさらに力を尽くしてほしい」と交渉で要求してきた。県民の福祉を維持・発展させるための地方財政を確立させるために、県はあらゆる機会を生かして国に地方財政確立を要求していくべきである。
 しかし、県職員の定数削減や出先機関の統廃合による行政サービスの低下は避けられない。さまざまな教育課題の解決していくために、学校と教育行政の連携は欠くことができない。教育事務所の統合によって、市町や学校への支援などが低下することがないよう十分な配慮
を強く求めたい。また行政職員の定数削減として、県立学校の事務職員等の削減にならないよう強く要求する。教員が子どもと向き合う時間を確保する上でも、学校で働く職員を減らすことには断固反対する。
 新たな政権が地方財政を今後どのようにしていくか、まだ明らかにはなっていない。知事は「政策如何では見直しもある」と述べている。
全日本教職員組合(全教)は、「30人学級の実現」、「高校授業料の無償化」、「給付制奨学金の創設」、「全国学力・学習状況調査の中止」、「教員免許更新制の廃止」などを求める「5大重点要求」の実現を求めて取り組みを強めている。これらの要求実現の取り組みの中で、地方財政の確立や私たちの労働条件を改善させていきたいと考えている。
 私たちの働く条件は子どもたちにとっては重要な教育条件でもある。これは憲法や教育基本法、ユネスコ教員の地位に関する勧告に基づくものでもある。県及び県教育委員会がこれらを尊重することを強く求め、「とちぎ未来開拓プログラム」に対する私たちの見解とする。
以   上